ディベート思考は意思決定に役立つ

瀧本哲史さんの『武器としての決断思考』(星海社新書、2011年)をもとに、

意思決定の方法について学びました。

 

 

ディベート思考とは?

 ディベートとは、

「ある論題(テーマ)について賛成・反対に分かれて議論し、第三者を説得する」

 議論のルールです。

 

著者の瀧本さんは、このディベートに基づいてディベート思考を作りました。

ディベート思考とは、

「ある論題(テーマ)についてメリット・デメリットを考え、今の最善解を導き出す」

 考え方です。

 

この思考は何かを決めるときに非常に役に立ちます。

 

ディベート思考が役に立つ理由

 ディベート思考が意思決定に役立つ理由は3つあります。

 

理由1:とるべき行動が具体的になる 

理由2:メリットとデメリットを比べるだけ

理由3:結論にいたる筋道が明確なため、後で修正が可能

 

理由1:とるべき行動が具体的になる

ディベート思考では論題を、

「具体的な行動をとるべきか否か」

に設定します。

理由は、論題が具体的でないと結論が出せず、

議論のしようがないためです。

 

 

論題を「行動を取るべきか否か」に設定するメリットは、

次に取るべき行動が明確になることです。

 

二者択一で行動で迷ったときは、まさにディベート思考の出番と言えます。

 

理由2:メリットとデメリットを比べるだけ

ディベート思考のやり方は簡単です。

行動したときに起こるメリット・デメリットを比べるだけです。

 

両者を比較して、メリットの方がデメリットよりも大きければ行動し、

デメリットの方が大きければ行動しない、

 というふうに判断します。

 

理由3:結論にいたる筋道が明確なため、後で修正が可能

もし前提が変わった場合や、理由が間違えていた場合、

ディベート思考では、簡単に結論を変えられます。

なぜなら、結論にいたる筋道が明確なので、修正する箇所がわかるためです。

 

ディベート思考であっても、1回で完璧な決断はできません。

重要なのは、どういう思考を経て結論を導き出したか。

何度も思考を繰り返し、結論を変えて行くことで、

最善な決断を導いていきます。

 

ディベート思考を使った意思決定の例

それでは、ディベート思考を使ってどのように意思決定するのか、

例を挙げて説明していきましょう。

 

 論題:就職活動で本命でないX社に内々定をもらったA君。A君は就活を続けるべきか?

 

メリット・デメリットを考える

まずは「就活を続けるべき」という意見に立って考えてみます。

 

就活を続けるメリット:X社よりも良い会社に就職できる。

まずは、このメリットが成立するための条件を考えます。

条件は、

・就活を続けない限り、X社より良い企業に就職できない

・仕事選び、会社選びは人生を左右する重要な問題だ

・就活を続けていけば、より良い会社に巡り合うことができる

の3つが考えられます。 

 

就活を続けるデメリットも同様に条件を整理します。

 

反論を考える

次に上で挙げた条件に対して、反論を加えていきます。

例えば、

「就活を続けない限り、X社より良い企業に就職できない」

というメリットの条件に対しては、

「X社で実績を挙げて、より良い会社に転職することができる」

「実はX社は素晴らしい会社で、そのことに気がついてない」

という反論が考えられます。 

 

その後、就活を続けるメリットを主張する側が、

上に挙げた反論に対して反論を試みます。

反論した側は、メリットを主張する側の反論に対して、

さらに反論します。

このように何度も反論を繰り返して、

メリットを支える条件に不備がないかを検証します。

 

デメリット側も同じ手順を踏んで、不備がないか確認します。

  

決着の仕方

最終的にメリットとデメリットのどちらの条件が、

反論に耐えたかを比較します。

反論に耐えたとは、反対側に反論されなかった、

または反論が弱かった状態を指します。

 

メリットの方が反論に耐えたら行動に移し、

デメリットの方が反論に耐えたら行動に移さない。

このように意思決定していきます。

 

まとめ

ディベート思考は客観的に考えて主観で決めます。

自分で考え自分で決めていく意思決定の手段がディベート思考です。

 

本書で瀧本さんは、ディベートの手順は忘れても構わないから、

「自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていく」

ことを忘れないで欲しいと述べています。

 

何か決断に迷ったとき、ディベート思考で考えてみてはいかがでしょうか。