「経済の教室」で勉強しました

 飯田泰之さんの『世界一わかりやすい 経済の教室』(中経の文庫、2013年)を読んで経済の勉強をしました。

ニュースではよく「デフレ」や「金融緩和」という言葉を聞きます。

これらの言葉は自分なりに理解しているつもりでした。

しかし果たして、デフレとはどういう状態なのか?、金融緩和の仕組みを本当に理解しているのか?、疑問がありました。

 

飯田さんの本を読んで、デフレの問題点と金融緩和政策の仕組みにいて理解を深めることができました。

 

インフレとデフレ

 この本では、不況は「実力不足型不況」と「ギャップ型不況」の2種類があると書かれています。

前者をスタグフレーション、後者をデフレーションと呼びます。

「実力不足型不況」では、物を作る力が不足します。それに伴って付加価値≒所得も減ってしまします。

また物が不足するため、物価が上がります。

この物価が上がる状態をインフレーションと呼びます。

物価が上がっている状態で、物を作る力を増やす≒付加価値を増やそうとする事ができれば、不況にはなりません。

しかし、付加価値を増やそうとせず実力不足のままでいようとすると、不況になります。

これが「実力不足型不況」です。

 

次に「ギャップ型不況」は、本来の実力と実際に現在出せている力の差によって、引き起こされる不況です。

この不況下では、

・もっと作る力があるのに、何らかの理由からみんなが物を買ってくれない

・商品が売れないから、企業は在庫を減らそうと商品の生産を減らしてしまう

・企業が商品を減らした結果、社会全体の生産量が減ってしまう

という悪循環に陥ってしまいます。

商品が売れないため企業が値下げした結果、物価が下がります。

この物価が下がる状態をデフレーションと呼びます。

 

デフレの問題点

この本では、デフレの時は大きく4つの問題があると書かれています。

 

1つ目は、企業の負担となる従業員の賃金の負担が大きくなる事です。

賃金を抑えようと企業が従業員を解雇すると、それまで働いていた人は非自発的失業者(=ニートやフリーター)になってしまいます。

2つ目は、企業が銀行から借入金を減らし、設備投資を控えます。

そのため、新しい事業に挑戦しにくくなります。

3つ目は、企業の自己資本が減り、銀行からお金を借りにくくなります。

日々の営業活動に支障が出るほど資金調達に苦しみます。

以前ブログに書いた、

迷ったら茨の道を行け!紳士服店社長の選択 - 男爵いもの日記

でも、デフレ下の資金調達に苦しんでました。

 

4つ目は、デフレ下では個々人にとって正しい行動をとった結果、社会全体としては好ましくないことが起きる点です。

デフレ下では個人も企業も節約や預金にお金を回そうとします。

そのため、企業は新しい設備投資に及び腰になり、商品を売るために値下げを始めます。

個人にとっては、企業の業績が悪化しているため、就職や転職がしにくくなります。

 

このようにデフレ下では個人や企業の最適な行動と、社会全体の経済成長を目指す事が正反対になってしまいます。

 

金融緩和政策の仕組み

デフレから脱するために国がとる方法は2つあります。 

財政政策と金融政策です。

ここでは2つの政策のうち、この本で詳しく書かれている金融政策について、その中の金融緩和政策について書いていきます。

 

金融政策とは、中央銀行が国内に流通する現金や預金の量を調整することで、物価を動かし、実質GDP(物価の上下を考慮しない国内で作られる付加価値)の増減を調整する政策です。

デフレは物価が下がっている=貨幣の価値が上がっている状態なので、デフレから脱するためには、インフレになるよう誘導すれば良いのです。

中央銀行が貨幣を増やし、将来も貨幣の量は多いだろうと誘導できれば、インフレになる=デフレから脱することができます。

 

次に、貨幣の量を増やしてインフレに誘導する方法を述べます。

日銀は、一般の銀行同士が資金を融通し合う場(短期金利市場)の金利を変更して、現金や預金の量を調整します。

一般の銀行から国債などの債権を売買するコトで金利の水準を変更しています。

例えば、日銀が一般の銀行が持つ債権を買った場合は、

各銀行の日銀当座預金(銀行がすぐ出せるよう手元に置いておくお金)に日銀が支払います。

そのため、債権を売った銀行は手元にお金が増え、企業などに貸し出しができるようになります。

銀行は単金利市場でお金を融通する必要がなくなるため、短期金利が下がります。

金利が下がった結果、インフレとなり実質GDPが増えてデフレから脱することができます。

この一連のプロセスを金融緩和政策と呼びます。

 

 しかし、インフレになる途中で日銀が金融緩和政策を止めた場合はどうなるのでしょうか。

またデフレに戻ってしまいます。

なぜなら、中央銀行はインフレをする気がないのだと個人や企業が判断し、またデフレのときのように節約や設備投資を控えたりするからです。

個人や企業がインフレになると判断しやすくするためには、ある目標を達成するまで金融緩和政策を止めないと、アナウンスする必要があります。

その方法がインフレターゲットです。

インフレ率がこの値を推移するまで政策を続ける、と内外にアナウンスすれば、個人や企業は消費や生産、設備投資をしやすくなります。

 一般にインフレ率は本来の値よりも計算の都合高くなるそうです。

そのため各国は、インフレターゲットとして物価上昇率を2%目安にしているそうです。

 

最後に

この本は経済学について初歩的な考え方から書かれており、経済学を勉強していない人でも読む事ができる本です。

今回ブログに書いたデフレや金融緩和以外のことも書かれており、非常に勉強になりました。

もっと経済について勉強しようと思いました。